岩見沢市立美園小学校3年3組学級通信

輝き! 20076日(金)柳谷直明発行

 

1 御挨拶

初めまして。3年3組学級担任の柳谷直明です。よろしくお願いします。(^^)v

「まさか。」

学級担任発表の際,こう思いました。でも,次の瞬間,微笑んでしまいました。こんな,有難い人事は無いからです。

2年間,手塩に掛けて育てた子ども達と更に1年間過ごせるとは夢のようです。

入学式からの2年間,学年全体で協力し,学力向上に挑戦してきました。その結果,すばらしい子どもに育っていると自負しています。

今年度は,これまで身に付けさせた力を使わせて,更に挑戦させたいと思います。

私の指導法を是非,授業参観や保護者会や国語学習会などで体験して下さい。そして,できれば家庭でも同様にさせて下さい。私の考えを少し書きます。御協力をお願いします。

 

2 授業に対する私の考え

授業の主な目的は学力向上です。学力を向上させない授業は授業では有りません。

もちろん,学力向上だけが授業の目的では有りません。授業では,思い遣りなどの道徳的な心を育てる必要も有るからです。道徳的でない授業は,学校では有り得ません。下らないテレビ番組のような授業は不要です。しかし毎時間,道徳の授業を行っているわけではありません。例えば,道徳的な生徒指導ばかり行っているのは,授業ではないのです。

つまり,道徳的な心を育てる前提の下で,学力を向上させるのが授業の主な目的です。

野口芳宏先生は,こうおっしゃいます。(『鍛える国語教室シリーズK 子どもは授業で鍛える[増補新版]』明治図書,2005年9月,18ページ)

「技術は,『知識を行為化すること』です。」

これは国語の授業で身に付ける「技術」を説明した文です。国語の授業の主な目的として「技術」を身に付けるというのです。

これは何も,国語だけの話ではないでしょう。「技術」という言葉を「学力」という言葉に置き換えて,言い換えてみます。

「学力」とは「知識の行為化」である。

子ども達は授業で言葉を習います。私達教師は言葉を教えているのです。例えば,鉄棒の前に立ち,黙って逆上がりを見せて,どうぞ,という話にはならないですね。これから何をするのか。それはこうするのだ。こうするために,できない子はタオルを使うとよい。タオルを腰に回し,両端を両手で強く持つと簡単にできる。このように言葉を話します。

この授業では,何を教えたのでしょうか。「逆上がり」です。「逆上がり」という言葉とその行為化を具体的な言葉で教えたのです。

価値有る言葉を教え,その行為化をさせると学力として身に付くのです。それが授業です。

3 価値有る言葉を増やす3つの方法

こう考えてくると,結局は価値有る言葉を増やさない限り,学力は向上しないのです。価値有る言葉を知り,それを使える状態になって始めて学力が向上したと言えるのです。

よく知識だけではだめだ,と聞きます。この考えは誤りです。「知識だけ」という状態はないからです。「知識」が本当に身に付いているならば,それを使える筈だからです。「知識だけ」と言われる状態は,実は「知識」が身に付いていない状態なのです。

したがって,価値有る知識を価値ある言葉でどんどん与える必要があります。それが行為化できる状態を学力が向上した状態と呼べるのです。例えば,次のような方法があります。

 

(1)電子辞書を使わせる

学校で使えるかどうかは,今後校内で話し合われます。仮に学校で使えなかったとしても,持っている子は家庭でじゃんじゃん使わせると価値有る言葉が増えます。できれば小遣いをためさせ,下らないゲーム・ソフトなどを買わせないで電子辞書を買わせるとよいでしょう。

例えば先に「手塩」という言葉を使いました。この言葉を使う際,念のために電子辞書の広辞苑で確かめます。すると「手ずから」という言葉が有りました。これは何て読むのか,「てずから」でよいのかと電子辞書の漢字源で「手」を調べます。すると「てずから」という用例があります。また広辞苑に戻り「手ずから」と引くと、「手ずから」が有りました。更に「手ずから自ら」などの用例も有ります。こうしていくつもの言葉と出合えます。

このように電子辞書を使うと価値有る言葉が増えるのです。電子辞書は,漢字を調べさせるという目的だけでなく,価値有る言葉を増やすという目的でも有効なのです。

 

(2)国語辞典を使わせる

ある小学校の授業で国語辞典に付箋をたくさん貼らせている実践をテレビ紹介していたようです。(私は見ませんでしたが。)

確かに国語辞典を使わせるのは大切です。これでも価値有る言葉を増やせます。だから今年度は,国語辞典の使い方を4月に指導します。付箋を貼りたい子は貼ってもよいでしょう。私も,過去にはこのような実践をしていた時期があります。しかし今ではやろうとは思いません。付箋を貼らせるのが目的ではなく,言葉を覚えさせるのが目的だからです。

そうなるとやはり,短時間で多くの言葉を目にできる電子辞書の方が有効なのです。しかし,全員が電子辞書を買えるわけではないので,国語辞典の使い方を指導します。

 

(3)漢字を目に焼き付ける

 野口芳宏先生はおっしゃっています。(『漢字マスターカード』の序文)

石井博士の考えに従えば、漢字を多く習得すればするほど語彙そのものを習得することになる。言葉を多く習得していればいるほど、それだけでも高学力の持ち主ということになる。」

 「石井博士」とは,漢字教育で有名な石井勲先生のことです。この考えに基づき,黒板にどんどん未習(習っていない)漢字を使っています。1年生のときからそうしてきました。その結果,この子達の読解力は高いのです。読むといっても,言葉を知らなければ読めません。今年度も言葉を増やすために,平仮名で板書するのではなく,漢字で板書します。

習っていない漢字を無理に書かせる目的では有りません。言葉を増やす目的です。(続)